長年の沈黙を破って、ついに復活!?バイオの研究者によるつれづれなるエッセイから、新時代のテーマ「バイオな法則」へと変身をとげます。旧テーマの「理系の大学院留学」のエッセイも残してありますので、興味ある方はどうぞ。またカガクシャネットのサイト(kagakusha.net)もおすすめします。ツイッターでもたまにつぶやいています。http://twitter.com/shigekisugii
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Web shigeki.org
「サンディエゴゆうゆう」誌・増刊号に「まちかどインタビュー」掲載される
1987年に創刊されたという、由緒正しきサンディエゴ日本語情報誌「サンディエゴゆうゆう」。
http://www.sandiegoyuyu.com/

20年以上の歴史で初というゆうゆう誌の増刊号で、「まちかどインタビュー」小コーナーに掲載されました。趣味、特技、座右の銘、好きな食べ物・人物、マイブームなど、「私のこんなことに誰が興味持つ?」と思ってしまう事柄が書かれてます。

サンディエゴ市長や在ロサンゼルス日本国総領事の方々などとともに掲載されるなんて、はなはだ場違いもいいところですが、いかんせん日本では目立たないことが美徳と思われている「研究者・科学者」の身分としては、こういう所に載せてもらうことは大いに名誉なことであります。

日本の科学界で陰口を叩かれても、私は構いません。少なくとも、「私のチャレンジ」項目だけは、ちょっと気負い過ぎだと自分でも思いますが、どんな大物にも負けてません(!?)。サンディエゴ在住の方は、ぜひ雑誌を手に取ってください。それ以外の方でもウェブでも閲覧できるようです。

Posted by : シゲキ的バイオ | アメリカ生活 | 14:53 | comments(4) | trackbacks(0)
アルク書籍発売「理系大学院留学:アメリカで実現する研究者への道」
「我々が留学をした当時、こういう本があったらいいのに!」と思えるような本を目指して、カガクシャ・ネットのメンバーらが全精力を尽くし執筆・編集した書籍が、本日発売されました。多くの異なる分野の留学経験者が執筆を担当し、「留学前の心構えや基礎知識」から、「実際に留学を目指すノウハウ」、そして「留学後を成功させる秘訣」などが満載で、貴重な一冊となりました。

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内容は以下の通りです。


---目次---

はじめに

大学院入学までのスケジュール

Introduction: 知らないと損をする―アメリカ理系大学院のQ&A

留学用語の基礎知識


Part I 情報編

Chapter 1 世界で活躍する研究者を目指す
 Section 1 世界で活躍する研究者を目指す!
 Section 2 なぜアメリカの大学院を選んだのか
  体験談:Case 1 / Case 2 / Case 3 / Case 4 / Case 5

Chapter 2 注目される研究分野・研究者と求められる人材
 Section 1 生命科学(Life Science)
 Section 2 材料科学・工学(Materials Science and Engineering)
 Section 3 環境科学・工学(Environmental Science and Engineering)
 Section 4 情報科学(Computer Science)

Chapter 3 アメリカの大学院教育―日本との比較
 Section 1 大学院のシステム
 Section 2 大学院のカリキュラム
 Section 3 大学院入試
 Section 4 大学院生のバックグラウンド
 Section 5 大学院生に対する見方・学生の意識
 Section 6 経済的支援
 Section 7 大学院修了後の進路
  体験談:Case 1 / Case 2 / Case 3


Part II 実践編

Chapter 1 目標を明確にする4つのチェックポイント
 Check 1 なぜ留学するのか
 Check 2 留学のメリット・デメリット
 Check 3 修士・Ph.D. 課程の選択
 Check 4 興味のある研究分野を絞る

Chapter 2 情報収集をする ― 信頼のおける情報入手のノウハウ
 Section 1 インターネットを使った情報収集
 Section 2 コネクションを使った情報収集

Chapter 3 入学後を見据えて出願校を選ぶ
 Section 1 大学・プログラム選びのポイント
 Section 2 研究室・指導教官選びのポイント
  体験談:Case 1 / Case 2 / Case 3

Chapter 4 出願準備
 Section 1 入学審査の基本要件
 Section 2 出願書類作成のポイント
  成績証明書/推薦状/エッセー/CV・レジュメ
  体験談:Case 1 / Case 2 / Case 3
 Section 3 出願関連テストのポイント
  TOEFL/GRE
  体験談:Case 1 / Case 2 / Case 3
 Section 4 外部奨学金の獲得
  体験談:Case 1 / Case 2 / Case 3
 Section 5 出願後から合否通知をもらうまでにすべきこと
 Section 6 合否決定のプロセス
  体験談:Case 1 / Case 2 / Case 3

Chapter 5 合格通知取得後
 Section 1 入学校の選定
 Section 2 入学辞退を伝える
 Section 3 渡航準備
 Section 4 プログラム開始前の準備
  体験談:Case 1 / Case 2 / Case 3


Part III 世界で活躍する研究者からのメッセージ

Interview 1 小柴昌俊
Interview 2 安田涼平
Interview 3 鳥居啓子
Interview 4 黒川 清・岩瀬公一
Interview 5 石井 裕
Interview 6 篠原眞理
Interview 7 浅田春比古
Interview 8 北澤宏一・東原和成


参考情報

書籍・出願書類(推薦状サンプル / エッセーサンプル / レジュメサンプル)

著者紹介

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続きを読む >>
Posted by : シゲキ的バイオ | 大学院留学 | 17:46 | comments(4) | trackbacks(0)
日経新聞に論文を取り上げてもらえました。
日経新聞に、論文について取り上げてもらえました!
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20100205ATDG0406705022010.html
http://health.nikkei.co.jp/news/top/index.cfm?i=2010020503919h1
http://www.nikkei.co.jp/kansai/news/news007507.html

昨晩、日経新聞の記者の方からお電話をいただき、いろいろ質問を受けました。
私の共同研究者と話したことがあったり、基本的な専門知識をけっこう知っておられたので、驚きました。これも、iPS細胞トピックだから?
話していて、楽しかったです。

---
別のお知らせ:
Twitterをはじめました!こちらにも同じこと載せました。
短文の投稿って、敷居が低くて、コンスタントに更新できそうです。
http://twitter.com/shigekisugii
Posted by : シゲキ的バイオ | バイオ研究 | 16:25 | comments(6) | trackbacks(0)
研究発表:脂肪から取った幹細胞からiPS細胞へ!
今週、もう一つ論文が出ます。これは皆にとって、面白いテーマではないでしょうか。今日この時間、ようやく報道解禁となったので、内容を少し紹介します。

タイトルの日本語訳は
「ヒトとマウスの脂肪由来の細胞から、フィーダー細胞なしに多能性幹細胞へ誘導した」
というところでしょうか。

これだけでは、なんのことやら分からないかもしれませんね。

ふだん我々の多くが気にしている脂肪というのは、実はほぼ無限に増殖できて、他のさまざまな細胞に分化する能力を持っている「幹細胞」の宝庫なのです。

私の所属している研究グループは、この脂肪から採った幹細胞を使って、再生医療に有望とされるiPS細胞(ES細胞様の特徴を示し、多能性幹細胞とも言われる)への誘導を試みました。ヒトとマウスの両方で試しました。驚いたことに、どちらの細胞も、今までに報告された10倍以上の高い効率で、iPS細胞になることが分かったのです。

さらに、iPS細胞を作り出すには、通常「フィーダー細胞」と呼ばれる細胞の上で培養することが必要でした。フィーダーがないと、多能性幹細胞ができてもすぐに分化して他の細胞になってしまいます。マウスの繊維芽細胞がフィーダーとしてよく使われています。ところが、脂肪由来の細胞は、マウスでもヒトでもフィーダー細胞なしに、iPS細胞になったのです。

実はこの研究には秘話があって、ここまでは順調に行って、論文を投稿しました。ところが、その翌週、スタンフォード大学のグループが、ヒトの脂肪幹細胞からフィーダーなしにiPS細胞を作製したという、まったく同じ発見の論文を出したのです。違うグループが同じ発見をしていることに感心しつつも、先を越されたことにはかなり落ち込みました。そう、科学の発見は二番煎じではだめで、一番でないと、評価されないのです。われわれはヒトだけでなくマウスでも示していたのですが、それでも時すでに遅し。彼らの発表は、全米のメディアでも取り上げられました。

しかし、ここであきらめてはいけない。彼らにない新しい発見をもっと探求して、再度チャレンジしよう、と。

まだ「なぜフィーダー細胞なしにiPS細胞になるのか」という理由が分かっていませんでした。そこで、私はフィーダー細胞から多く産出されている、「万能細胞の多能性を維持する因子」とされている候補を調べました。そしたら、脂肪幹細胞はヒトでもマウスでも、高い濃度でこれらの因子を持っていることを発見したのです。

これらの因子は、ベーシックFGF、LIF、ビトロネクチン、フィブロネクチン、TGFベータなどのタンパク質でした。

そして、脂肪幹細胞が実際にiPS細胞の培養をサポートできるかどうか証明するために、これらの細胞を「フィーダー」として、何代にもわたって、別のiPS細胞を培養し続けました。そして、これらのiPS細胞がきちんと「多能性」を維持していることを確認しました。

さらには、iPS細胞の作製には動物由来の材料が使われてきましたが、免疫の拒絶反応や、品質管理が難しくなるなどの欠点がありました。われわれは、この点も克服するために、フィーダー細胞なしだけでなく、培養する培地など、動物由来の材料を全く使わずに、脂肪からiPS細胞を作り出すことに成功しました。

これらの発見により、患者の脂肪から幹細胞を採取し、クリーンな材料を用いて、再生医療に安全に応用できる万能細胞を作り出すことが、技術的に可能になります。


文献はこちら:
"Human and mouse adipose-derived cells support feeder independent induction of pluripotent stem cells" Sugii S. et al. Proceedings of the National Academy of Sciences. 107 (8): 3558-3563 (Feb 23, 2010)

http://www.pnas.org/content/107/8/3558.abstract
Posted by : シゲキ的バイオ | バイオ研究 | 05:19 | comments(1) | trackbacks(0)
研究に役に立つ書籍:「グリンネルの科学研究の進め方・あり方」
グリンネルの科学研究の進め方・あり方 ―科学哲学・新発見の方法・論文の書き方・科学政策・研究者倫理・遺伝病・生命倫理・科学と宗教―
グリンネルの科学研究の進め方・あり方 ―科学哲学・新発見の方法・論文の書き方・科学政策・研究者倫理・遺伝病・生命倫理・科学と宗教―
フレデリック・グリンネル 著


久々に、おすすめの本の紹介です。


読んでみた感想を一言でいうと、「このような本を、大学院入学前か大学院初期に読んでおけたら良かった」。この本に書いてあることは、長年研究生活をしてきた上で、薄々気づいていたことが結構あるのですが、具体的な文章として読んだことはあまり無く、もっと早くから知っていれば、無駄な時間を費やさないでよかったのに、と思います。

筆者のグリンネル教授は、テキサス大学サウスウェスタン医療センターの教授で、細胞生物学の科学者であると同時に、「科学政策と社会」に関するさまざまな研究を行ってきたことで、よく知られています。

筆者が言うように、大学院の講義では、専門知識や実験手法に関すること・論文の読み方・ディスカッションの仕方などはみっちり教えられるのに対して、「実際に実験を行うにあたっての心構え」とか「科学研究をとりまく環境」について教えられることは、ほとんどありません。このことが、「授業の成績優秀な学生」が必ずしも、研究では実績を残せてない理由の一つではないかと、私は思います。

例えば、この本で議論される以下の項目が、特に参考になりました。


・すべての科学研究者は「何を、いつ、どう研究すべきか」「誰が支払うべきか」「発見にはどんな意味があるのか」という問題に直面しているが、この本の全体で、これらへの一般的な洞察と答えが示されている。

・科学研究に費やされる時間は、「ヒューリスティック(発見)」「デモンストレイティブ(論証)」「失敗」の3つの場面があるが、実際に最もウェイトが大きいのは3つ目の「失敗」である。「研究がほとんど失敗する」ということは、非研究者や大学院に入って間もない研究初心者などには、あまり理解されていない。

・しかし、教科書や論文などでは、現実の研究作業(失敗や発見までの経緯など)がアウトサイダーに知られることはめったにない。教科書は事実の羅列であり、論文は発見の形式的書類である。このように、「論文にみる研究の進め方」と「現実の研究の進め方」のギャップが大きく、後者に関して講義を受けることはあまりない。

・このように、科学研究の実際は、見かけ(教科書や論文)と裏腹に、論理と客観よりも、直感と情熱に大きく依存していることを、認識しないといけない。発見は、生身の研究者の興奮と冒険の結果である。そして、社会のさまざまな側面とリンクしていることを認識する。

・新しい「研究テーマ」に着手する前に、満たしているかどうか検討しなければいけない3つの基準。

・科学的「発見」をするに重要な、7つの事柄。また新しい発見をするのに必要な「物事のとらえ方」を進化させる方法。

・発表した論文が「信用」を得るプロセスとインパクトについて。

・科学技術予算と政策の傾向。研究費を獲得するのに重視される事柄と、それが科学研究の本質と矛盾する点は何か。

・初期の遺伝子治療はなぜ進歩しなかったのか。

・科学と宗教は「完全に分離」でも「完全に統合」でもなく、「相補的」であるべきだ。「インテリジェント・デザイン」でなく、「インテリジブル・デザイン」の信仰のすすめ

・科学研究を行うにあたって、「全体主義」と「細分化主義」の両方の視点を理解する。


これ以外にも、多くの興味深い話題があげられています。これから研究の世界に入っていく大学院生には必読の本です。研究歴の長い研究者にも、実は知らなかったこと、改めて重要なことだと再確認されることが多く取り上げられており、きっと役立つことと確信しています。


[目次はこちら]


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Posted by : シゲキ的バイオ | バイオ研究 | 17:48 | comments(0) | trackbacks(0)
研究発表:PPARガンマが活発な脂肪細胞は糖尿病を防ぐ味方!
2009年も残すところあとわずか。
みなさんにとって、どのような年でしたか?
私はというと、年の最後に当研究論文を発表することができまして、ほっとしています。
この研究プロジェクトを始めてから5年、ボスに論文の原稿を最初に渡してから2年もの月日が流れて、ついに日の目を見ることになりました・・・さすがに長かった..。

さて、脂肪細胞というのは悪者で、メタボリックシンドロームや糖尿病において、「負」の役割をしていると考えてませんか?

確かに、肥満はメタボや糖尿病の大きな危険因子です。しかし、脂肪細胞は「過剰」になったり「悪玉」になるのが問題であって、実は正常の範囲内では、これらの病気を防ぐ役割をしているのです。例えば、体内の余分な栄養分(特に中性脂肪や脂肪酸)を取り込んで貯蔵したり、「アディポカイン」と呼ばれるホルモンを血中に分泌して、血糖値を下げるインスリンの働きを増強したりすることが知られています。

これら「良性の」脂肪細胞は、糖尿病の前触れである「インスリン抵抗性」(インスリンが効かなくなる状態)を防いでいます。ですから、皮下脂肪などである程度「ふっくら」している人の方が、「ガリガリ」やせている人より健康体のことが多いわけです。

さて、糖尿病の治療でここ10年ほどよく使われている薬に、「チアゾリン誘導体(TZD)」系の薬剤があります。武田薬品から出ている「アクトス」が代表です。このTZDは、インスリンの感受性を上げる作用があり、現在出ている糖尿病の薬の中では、唯一の「全身のインスリン抵抗性を改善する」薬剤です。そしてTZDがターゲットとするタンパク質が、「PPARガンマ」と呼ばれる核内受容体であることが分かっています。

またPPARガンマは、脂肪細胞の前駆体を完全な脂肪細胞に分化させる主要因子としても知られています。

しかし、TZDが体内のどの組織のPPARガンマに作用して、どのようにインスリン抵抗性を改善するのか、そのメカニズムは謎の部分が多くあり、論争の的になっていました。TZDは、糖の代謝に重要である「筋肉」や「肝臓」に作用しているという説も有力であったし、最近の研究では「マクロファージ」という免疫系の細胞に作用して、糖尿病に見られる炎症反応を抑えている、という報告がなされていました。

そこで我々の研究室では、これらの疑問点を明らかにするために、特定の組織特異的に、PPARガンマを高発現させるトランスジェニック・マウスのモデルを作りました。PPARガンマを含む核内受容体は通常、受容体にくっつくリガンドと呼ばれる物質(例:TZD)がないと働かないのですが、我々は「VP16」というドメインをくっつけて、リガンドなしにPPARガンマが常に活性化している状態にしました。

そして、脂肪細胞に特異的にPPARガンマが高発現しているマウスは、高脂肪・高炭水化物食が与えられて、普通のマウスにインスリン抵抗性が起こりやすい状態でも、糖尿病にならないことを見つけました。これに対して、マクロファージに特異的にPPARガンマを高発現させても、インスリン抵抗性が緩和されることはありませんでした。

さらに、高脂肪食の環境において、この脂肪マウスモデルを、TZDを全身に投与された普通のマウスモデルと比較してみたところ、まったく同程度にインスリン抵抗性が改善されていることを発見しました。

メカニズムを調べてみると、脂肪細胞特異的PPARガンマモデルは、脂肪組織に実に多くの遺伝子の変化が見られていることが分かりました。大まかにカテゴリーに分けると、「脂肪の代謝」「炭水化物の代謝」「免疫・炎症反応」「インスリン・シグナリング(インスリンに感応して働く因子たち)」などに関わる遺伝子群が、特に強く変化していました。

実際に、さまざまなアッセイを用いて実験したところ、脂肪マウスモデルでは、脂肪分や糖の代謝が改善されているのはもちろん、脂肪組織において、炎症反応の抑制やインスリン・シグナリングの感受性が高まっていました。また副次的に、筋肉や肝臓でのインスリン感受性および糖代謝が改善されていたのです。

脂肪組織には、脂肪細胞だけでなく、さまざまなタイプの細胞が存在しています。特に長いあいだ肥満である人たちの脂肪組織には、多くの免疫細胞、特にマクロファージが侵入してきていて、慢性的な炎症反応を起こしています。脂肪マウスモデルでは、組織の中の脂肪細胞のみにPPARガンマが活性化されていることを確認し、さらに、PPARガンマが活性化された脂肪細胞が、組織内のマクロファージの炎症反応を抑えることを発見しました。

このように、脂肪細胞でPPARガンマを活性化させさえすれば、全身のインスリン抵抗性が良くなることが分かったわけです。

TZD系薬剤は、たいへん効果的である一方で、副作用が存在します。アメリカで処方されているグラクソ・スミスクライン社の「アバンディア」は、心疾患のリスクを高めるとして、大問題になりました。心筋細胞のPPARガンマに作用して、副作用を起こすのではないかと言われています。他の副作用として、浮腫(むくみ)があげられますが、これは腎臓にある細胞のPPARガンマに作用した結果であるという報告があります。

脂肪細胞に最も特異的に作用する薬を開発すれば、これらの副作用を回避しつつ、最大限にインスリン感受性を上げることが可能になり、より理想的な糖尿病薬の登場につながることでしょう。


論文はこちら:
Sugii et al. (2009) "PPARγ activation in adipocytes is sufficient for systemic insulin sensitization" PNAS 106 (52): 22504-22509

http://www.pnas.org/content/106/52/22504.short


* (2月2日追記)この記事は、下書きとして保存されたままで、投稿されずにいました..。
Posted by : シゲキ的バイオ | バイオ研究 | 13:00 | comments(4) | trackbacks(0)
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